伊達の周りに関する疑問

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オリジナル設定警報発令中。
苦手な方はご注意。

伊達の身内に関する勝手な想像の産物です。
気にしないよーという方はスクロール!





















 休日、伊達が女とサ店にいた。

 見かけた松尾、田沢、秀麻呂の3人は、血相を変えて寮に駆け戻った。門限にはまだ早い。しかし折角の時間を3人はあっさりと切り捨てた。それだけ誰かに報告したかったのだ。
「たっ、大変じゃぁっ、大変じゃぁっ!!」
 3人は叫びながら食堂に飛び込んだ。食堂は、飯時以外は娯楽室として開放されていて、自由時間にはしばしば人が集まる。当然、茶も菓子もないが、水だけは飲み放題だ。
「なんじゃい。えれぇ慌てようじゃねぇか」
 大あくびをしながら富樫が後ろから声をかける。今まで惰眠を貪っていたのだが3人の騒々しい帰還で叩き起こされたようだ。
「それがよぅ、富樫」
 伊達が女とサ店にいた。
「何ぃ?」
 一気に富樫の眠気が吹き飛んだ。アイツ女にモテそうなタイプだからなぁと塾生から声が上がる。
「そういえば今朝、飯食って早々に出て行ったな」
 桃が言う。
「伊達に女か。ちと違和感あるのぅ」
 そう言うのは虎丸だ。
「まぁ、確かに女に現を抜かすような奴ではないよなぁ」
 富樫も同意する。
「どんな女なんだ?」
「それがさぁ、聞いて驚くなよ。なんと、“海棠凛子”(カイドウ リンコ)なんだよ!」
「何ぃっ!?」
 秀麻呂の答えに、その場にいるほとんどの塾生が唱和した。
「そりゃぁ、隅に置けねぇな」
 桃はさして驚きも見せずに余裕の笑みで呟く。隣りでJが誰かと首をかしげた。
「なんじゃJ、知らんのか!」
 信じられないという顔で松尾が叫ぶ。
「海棠凛子と言えば、今人気急上昇のアクション女優じゃ! あらゆる格闘技に精通した本格派なんじゃ」
「そうなのか」
「っつーか松尾、Jはアメリカ人だから分かるわけないだろう」
 ふと気が付いて田沢がツっこんだ。
「お? あぁ、そうじゃのぅ。スマンスマン忘れとった」
「でも、なんで伊達が海棠凛子と?」
 もっともな疑問が椿山から出る。だが誰も答えなど知るわけがない。
「ぎゃ、逆ナンか?」
 富樫が言う。
「でも応じる男じゃないと思うがのぅ」
 と虎丸。だよなぁと富樫は呻いた。
「伊達、どんな感じだったんじゃ?」
「うーむ……相変わらずじゃったなぁ」
 田沢が答える。海棠凛子を前にした伊達は、何処がどう変わっているでもなく、伊達だった。
「わ、分からねぇなぁ……予想すらできん」
 富樫は頭を抱えた。
「そのRinco=Kaidoというのは、いくつくらいの女性なんだ?」
 Jが松尾に尋ねる。
「20代半ばから後半くらいだったはずじゃが」
「では、姉というのはどうだ?」
「え、でもアイツ、身内いんの?」
 と秀麻呂。幼い頃に誘拐されて孤戮闘を課せられた男に、身内とは考えにくい。
「いないことはないんじゃないか? 人間、一人では生まれてこれねぇだろ」
 Jが返す。
「もしかしたら、出自くらいは認識できる歳だったのかも」
 さらわれたのが。椿山が言った。
「うーん、そう言われると」
 そんな気もしてくる。秀麻呂は腕を組んだ。
「そうだ。三面拳なら何か知ってるんじゃねぇか?」
「雷電と月光は図書館、飛燕はさっきまでいたんだが、毛糸玉を部屋へ取りに」
「戻ってきましたよ」
 桃の返答を飛燕が遮った。
「おう、飛燕あのよぅ」
「聞こえていましたよ、秀麻呂。随分野暮な話をしていますね」
「いや、だってなぁ」
「気持ちは分かりますが」
 そう言って飛燕は苦笑する。
「で、どうなんじゃ?」
 期待の眼差しで松尾が尋ねた。
「仕方ないですね……ですが、改めて説明することは何もありませんよ」
「えっ、ということは」
「Jと椿山の御明察通りということです」
「やっぱり」
 椿山から嬉しそうな声が上がる。
「いくつか補足説明しますと、自由の身になって家に戻った時には海棠女史しか生きておられなかったのだそうです。伊達殿はああいう方ですから、ほとんど関わりを持とうとはしませんが、御両親の命日には毎年欠かさず御墓参りに行っているようですよ。二人で」
「それじゃぁ、今日は」
 富樫の問いに母の命日だと飛燕は答えた。
 ――少しだけ、食堂に沈黙が舞い降りる。
「……なんか、馬鹿みたく騒いで悪かったかのぅ」
 ぽつりと松尾が呟く。飛燕は微笑んだ。
「結果論ですよ。そんなに気にしなくても大丈夫です」
 それに、と飛燕は言う。
「塾生が女性と一緒にいたら、やはり大問題でしょう」
「違ぇねぇや」
 少々悲しいが、それが現実。男の道は素晴らしくハード。恋愛している暇などない。今のところは。
 潔く認めるしかなくて、塾生達は苦笑した。



 ――帰ってきた伊達は、いたる所でいたる塾生から生温かーい眼差しで出迎えられ、夜寝るまでトリハダが消えなかった。



END
で、その海棠凛子(もちろん芸名)の息子が安東だったり、とか妄想したわけですよ。
私の足りない頭ではそれ以外に想像できないよ!
本当は伊達の嫁の兄弟姉妹の息子だと思ってたんです。
でも塾長が18巻で「奴にも伊達の熱くて太い血が流れている」とか言うからさー。
ちなみに公式発表が出てきたらこの小説は削除します。
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